レーザー歯科治療 (YAG)のページ↓
レーザー治療の利点
患者様の全員が等しく望まれるのは,痛くない治療です.
レーザーによる歯周治療は,多くの場合に麻酔の注射を必要としませんから,歯周ポケット深部の歯石除去の時などの麻酔の注射を敬遠なさる方には適しています.
歯科用レーザー治療には,①痛くなく,②治りが早い,という画期的な特徴があります.
臨床応用例
●歯周疾患の処置
・歯肉炎/歯周炎(歯周ポケット掻爬)/智歯周囲炎
●根管治療への応用
・根管内の殺菌/消毒・乾燥/歯髄炎の診断
/根尖病巣へのアプローチ/生活歯髄切断
●審美領域
・メラニン色素除去/変色歯のホワイトニング
●疼痛緩和
・矯正治療中の疼痛緩和/顎関節の疼痛緩和
/表面麻酔効果
●硬組織への応用
・象牙質知覚過敏処置/ウ蝕(虫歯)の予防
●止血
・抜歯後の止血
<レーザー照射による歯周病の治療法>
①歯ぐきの状態・歯周検査・レントゲン・細菌検査などから,「歯肉炎/歯周炎」と診断された場合.歯石等の炎症を誘発する物質を取り除きながら,歯周ポケット内の除石,殺菌のために,歯科用パルス発振レーザー(Nd:YAG)照射治療を行います.
②当院で使用しているNd-YAGレーザー(アストラテック)です.歯周ポケットの底部付近へレーザーのファイバーを無理なく安全に到達させるため,非常に細い径のファイバーを使用しています.これにより,従来の装置と比較して治療がかなり容易になりました.
③歯の周囲に沿って,ぐるりと一周する要領でレーザーを単発照射していきます.照射そのものは5~10分程度で短時間に終了します(100mJ/20pps).
必要な場合には,麻酔処置も可能です.このレーザー治療を症状の改善に応じて数回行います(歯石やその他の起炎物質の除去も通法通りに行います).
④術後経過例:徐々に歯周炎の症状が改善してきています.レーザー治療を続けながら,部分矯正(歯冠部が欠け,歯根だけになった部分の牽引矯正)を行っています.
術前:左/中等度の歯周炎の状態
術後:右/歯周基本治療とレーザー
治療の併用で炎症は改善
⑤治療後:慢性の歯肉炎症が改善し,全体的に引き締まって健康なピンク色に近づきました.この状態で,オールセラミックス製のクラウン冠をかぶせて審美治療を行いました.この冠は,金属を必要としない最新の方法で,従来のように金属の色が透けて,歯と歯ぐきのさかい目が黒ずむという心配はありませんので、歯肉もより自然の色に見えます.
■当院では,「←位相差顕微鏡」を使用して「カンジタ菌・紡錘菌・らせん菌・連鎖球菌」などの歯周病病原菌の検査も行っています.
■歯周病菌とは.
お口の中には,常に細菌がいます.しかし,全てが歯周病菌というわけではありません.
現時点では,約10種類の菌が歯周病菌に認定されていますが,とくにPg菌,Aa菌,Bf菌というの3つの細菌はアメリカ歯周病学会認定の強毒菌です.その中の1つである「Pg菌」は,こっぺパンのような形の菌で,歯周病菌では非常に多いものです.酸素を嫌う性質のため(嫌気性菌)歯周ポケットの奥深くに潜んでいます.
■抗生物質だけでは歯周病が治りにくい理由.
歯周ポケット内の細菌は「バイオフィルム」というバリアーを作って自己防衛しています.
バイオフィルムの最大の特徴は,細菌どうしがグリコカリックスというネバネバした菌体外多糖類で接合し合っているということです.
これにより,細菌は頑丈なバリアーを張り外敵(投薬や人体の感染防御機構)から身を守っているので簡単には治療効果が上がりません.
歯周病は細菌バイオフィルムによる感染症で,類似した疾患には以下のものがあります.
⇒細菌性心内膜炎/尿路感染症/慢性呼吸器感染症/慢性骨髄炎/細菌性前立腺炎.
■歯周ポケットレーザー照射
歯周病の場合,患部ポケットにレーザーを直接・間接的に照射して,バイオフィルムの破壊と歯周病菌の殺菌・患部の消毒を行い治療します.
その他の臨床応用例
根管治療への応用(根尖病巣へのアプローチ)
←術前(根尖部にフィステルあり)
←術後(フィステル消失7ヵ月後)
・フィステルからアクセスし病巣内を直接レーザー
照射(80mJ/15pps)
・病巣の排膿促進
・フィステルの消失化
硬組織への応用(裂溝部の黒色変性部の蒸散と殺菌)
・予防歯科的充填の前処置として,裂溝部の殺菌.
・レーザーの熱によって,瞬時にエナメル質の融解と
凝固が起こり溶岩状構造になるため,エナメル質の耐酸性の向上,酸エッチング後のシーラント剤とエナメル質との緊密な接着が起きます.
<おわりに>
歯科用Nd:YAGレーザーは,安全で人にやさしい治療を可能にします.本レーザーシステムは,歯科医療に新しい可能性をひろげるもので、レーザーがもっているいくつかの物理学的特性としては,①熱作用,②圧力
作用,③光化学作用,④電磁界作用などがあります.
Nd:YAGレーザーの波長(1064nm)は体内の水分や血液に吸収されにくく,組織の内部まで浸透します.
圧力作用により,炭化,壊死層は形成されません.これらの作用を応用し,安全で人に優しい治療が可能です.
当院のレーザー装置(Impulse)は,レーザーをパルス発振し,1パルス波の幅は大変に狭いスパイク状になっており,レーザーそのものは組織表面で600℃~700℃となるエネルギーを発生させますが,熱作用が瞬間的なため熱さや痛みをほとんど感じることなく切開,蒸散,
止血,凝固を行うことができます.
かかりつけ歯科医がいる
人の方が健康寿命が長い?
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◆健康で長生きをする「健康長寿」は、誰もが望むことでしょう。かかりつけ歯科医の存在は、その望みをかなえるためにとても重要なポイントの一つだということができます。かかりつけ歯科医がいる人は、いない人と比べて、ずっと長生きなのです。かかりつけ歯科医がいる高齢者を3年ごとに3回調査をした結果、寝たきりになった人はほとんどいませんでした。さらに要介護の進行度合いも、比較的ゆっくりだということがわかっています。
◆毎日しっかり歯を磨いているつもりでも、磨き残しが全くないということはほとんどありません。その磨き残した歯垢は、やがて固くなって、歯石になります。そうなってしまうと、歯ブラシで取ることはできません。歯をきちんと磨くのは、意外に難しいことなのです。
例えば、半年に一回、かかりつけ歯科医に行くことによって、そんな自分では取ることの難しい歯垢や歯石を取ってもらうことができます。歯や口の健康状態に問題が生じてから行くのではなく、予防やメンテナンスのために行くというのがポイントです。もちろん、自宅におけるセルフケアも怠ってはいけません。デンタルフロス(歯間の汚れを取る糸状の器具)や歯間ブラシを上手に使っている人は、口腔の清掃状況が優れている上、歯ぐきの炎症も潰瘍も、出血もほとんどありません。
◆気持ちに張りがあり、心が健康な人は長生きです。社会につながってる人もやはり長生きです。高齢になっても、自分の大好きなことや生きている幸せを感じながら前向きに生きている人は、強いものです。かかりつけ歯科医を持ち、自分でもしっかり口腔のケアをする。そうすることによって、口と心を健康に保ち、「健康長寿」をまっとうしていただきたいと願っています。
ピカピカお口とカラダに
←「ピュリフレッシュ」:茶カテキンを主成分とするプラークリムーバー:お口にとって30秒程うがいをすると、口腔内に残留するネバネバを茶カテキンが収集し塊として排出されます
口臭の原因とは?→「口臭は、胃が悪いから」と考えがちですが、胃の上部は噴門で閉じられているので、胃の空気が口腔内に出てくることは、通常あまりありません。①歯周病、②加齢や薬物の副作用、またはストレスや緊張による唾液分泌の低下、③虫歯、④舌苔(舌の上のネバネバ)、などが口臭の原因です。
■糖尿病になると、体の抵抗力が弱まってくるので、歯周病菌に対しても一方的に細菌の増殖を歯周ポケット内で許してしまいます。そのため、歯周病が著しく悪化します。
■歯周ポケット内で作られる内毒素は、白血球などに取り込まれて体内に入り込み、その白血球は脂肪細胞に結びつくなどして、炎症性物質を出します。それにより、糖を燃焼させるインスリンが働くことが出来なくなり、血液中の糖が結果的に増え、糖尿病になっていきます。
■肥満も、歯周病と関係していることが分かってきました。歯周ポケット内の細菌が作る前述の内毒素が、肝臓でのエネルギー消費を制限して、肥満の原因となるようです。
■歯周病があると、様々な全身疾患の発症率が増加することが最近の研究でも明らかにされています。
冷え取りワンポイント
体を温め、めぐりを保つには「食べ方」も大切!
体を冷やさないためには、冷たいものをとりすぎないことが基本。冷えが気になる人は体温より温度の高いものを食べるようにしましょう。色の濃い食材や固くて水分の少ない食材には体を温める効果が多いので、上手に取り入れる工夫も必要です。
さらに食事では、よく噛むことも重要なポイント。噛む刺激で」内臓脂肪は燃えたすくなり、体温も上がるからです。ごぼう、人参、れん根、生姜など体を温める食材を取り入れることも良いです。